「蟹工船」はまる若者、という新聞記事(2008年5月13日付け朝日新聞)に思わず引きつけられました。 小林多喜二の『蟹工船』。1929年、昭和の初期に書かれたこの作品は、「プロレタリア文学」の代表作と言われます。「プロレタリア文学」なんてもうとっくに過去の遺物かと思っていましたが、ところがどっこい、この作品は今でも立派に若い世代の心をとらえるらしい。 「おい、地獄さ行(え)ぐんだで!」という有名な書き出し。「蟹工船」はあくまで「工場船」なので航海法は適用されない。劣悪な船内の環境。カムチャッカのすさまじい寒さの中でのカニ漁。そして缶詰への加工作業。一方で、蟹工船は、日露戦争を背景とした「日本帝国主義」のロシアに対する対抗意識のシンボルでもありました。 「蟹工船はどれもボロ船だった。労働者が北オホツックの海で死ぬことなどは、丸ビルにいる重役には、どうでもいい事だった。」 悪辣な監督・浅川の仕