無料紙やインターネットの普及によって、情報をタダで読むことが当たり前の時代になった。それが世界中の新聞の凋落を引き起こしている。だが、その流れに反するように業績を伸ばしているのがフィナンシャル・タイムス(FT)だ。「世界のFT」を標榜してグローバル発行体制を推し進め、ネット展開にも成功している。その戦略の指揮を執るのが43歳(2008年当時)の若き最高経営責任者、ジョン・リディング。韓国や香港などアジア特派員の経歴を持ち、中国市場での事業化で大成功を収めて、親会社のピアソンから認められた人物だ。彼が思い描くFTの未来像とはどのようなものなのだろうか。 ――新聞はインターネットの影響を受け、軒並み部数減少、広告減少に苦しんでいますが、FTは比較的順調に業績を伸ばしている。現在の環境は逆風ではないのですか。 確かにメディア業界が今ほど多くの課題に直面したことは、過去にないと思います。私自身、2