2011年3月7日 山口浩先生 この度は往復書簡という形で議論の機会を持つことができ、嬉しい限りです。そして第一信での刺激的な問題提起、どうもありがとうございます。集合知は多義的な概念ですが、その「集合」も「知」も多義的に捉えられるというご指摘はその通りだと思います。アテネの民主政や粘菌の行動、市場メカニズムなど、コンピュータの誕生に先立つ興味深い例があることも踏まえつつ、『人と人がネットを介してつながることにより生まれる新たな「知」を主に念頭に』進めるというのも進路としてはよさそうに思いました。 さて、集合知に関して先生が注目しているのが、少数によるコントロールをめぐる問題だという風に第一信で提起して頂きました。それをウィキペディアと結びつけて頂いたので、私からはまず、ウィキペディアの実態に即したお答えを綴るところから始めさせて下さい。端的に言えばオープンなアプローチは「案外」うまく行く