ブックマーク / www.mishimaga.com (3)

  • 第18回 闘志について語るときに羽生の語ること|いささか私的すぎる取材後記|みんなのミシマガジン

    王者の首に刃を突きつける奇襲だった。 将棋会館東京将棋記者会室のモニターが映し出す特別対局室の盤上には、見たこともない陣形が広がっている。隣にいた観戦記者は「なんだこれ」と驚いた後で「これは昼までに終わりますね」と言った。まだ11時前だ。対局開始から1時間も経っていない。 若手の登竜門である第44期新人王戦を制した都成竜馬三段が臨んだ記念対局。相手は羽生善治三冠だった。いわゆるエキシビジョンマッチである。非公式戦で、正式な記録としては残らない一局だが、少なくとも都成にとっては真剣勝負だったはずだ。羽生の胸を借り、自らの腕を試すことができるのだから。仮に白星を挙げれば、何より雄弁に実力を示す看板になり、己の背中を押す自信にもなる。天才たちが四段(プロ)昇段への切符をめぐって弱肉強の死闘を繰り広げる三段リーグに持ち込む、最良の財産となるのだ。 独創的な指し回しはプロ間でも高い評価を受け、奨

    第18回 闘志について語るときに羽生の語ること|いささか私的すぎる取材後記|みんなのミシマガジン
    hasetaq
    hasetaq 2013/12/05
  • 第26回 サウダージ・ブックス 淺野卓夫さん――学び逸れ出版論! 文化人類学からスモールプレスの道へ(後編)|インタビュー・ミシマガ「人」|平日開店ミシマガジン

    動き出すサウダージ・ブックス ―― サウダージ・ブックスという名前が印象的です。 淺野ありがとうございます。「サウダージ」というブラジル・ポルトガル語は、英語で言う「ノスタルジー」という言葉に一番近いんですけれども、それは半分の意味しか捉えられていないんです。確かに失ったものに対する懐かしさ、やるせなさとか痛みとか、もしくは子供時代をめぐる甘美の記憶への懐かしさなどをさします。 実はもうひとつ、まだ起こっていない未来へのあこがれとか期待みたいなニュアンスも同居しているんです。時間の軸で言えば正反対の方向にぐーっとひっぱられるようななんとも言えない、「遠さ」や「はるかなもの」をめぐる独特の感情をサウダージって言うんですね。 さっきヘソの緒という言い方をしましたが、要はのある世界に生きる自分のサウダージが宿る場所は、いまはそこから遠く離れてしまったあの「のない世界」なんだぞ、というひそか

  • 第13回 文体と主語(その2)|コラム道|平日開店ミシマガジン

    文体を歩き方になぞらえるなら、主語はに相当する。どんなを履いているのかによって、歩き方はおのずから変わってくる。頑丈なを履けば歩きぶりは重厚になるし、サンダルを突っかけて歩く人間の足取りは余儀なく軽佻になる。かように、の選び方は歩行の基礎的なリズムだけでなく、その俊敏さや踏破性にも影響を及ぼす。 よく似たなりゆきで、主語は、文章のスタイルを規定している。最初にどんな仁義を切るのかで、後の行動が制約されるように、文体は、発言の主体である書き手の名乗り方次第である程度決定してしまう。 ということはつまり、書き手は、を履き替えるように主語を使い分けることで、文体を自在に操作することができるのだろうか。 さよう。ある程度は可能だ。 「僕」で書いた文章を「私」視点で書き改めれば、それだけでコラムの印象はずいぶん違ったものになる。逆もまた然りだ。 が、主語は、書き手のアイデンティテ

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