社長なのに、傷つきやすい。 それがぼくのコンプレックスでした。 その日も何気なく、友人にそんなことを冗談まじりで話していたときに、 その友人は「あなたのその繊細さは素敵だとおもう、直さなくていい」という言葉と一緒に、茨木のり子さんという詩人の「汲む」という詩を教えてくれました。 そこに書かれていた一節に、ぼくは衝撃をうけたのです。 “子どもの悪態にさえ傷ついてしまう 頼りない生牡蠣のような感受性 それらを鍛える必要は少しもなかったのだな 年老いても咲きたての薔薇 柔らかく 外にむかってひらかれるのこそ難しい あらゆる仕事 すべてのいい仕事の核には 震える弱いアンテナが隠されている きっと……” 弱い心は、克服すべきもの。 心のどこかでそう思っていたぼくを救うような言葉でした。同時にそれはきっと、ぼくがずっと誰かに言って欲しいと思っていた言葉だった、 と思うのです。 yori.so gall