【お金は知っている】2008年9月のリーマン・ショックから5年。当時、「日本は黙ったまま、世界のキャッシュ・ディスペンサー(現金自動支払機)になるつもりはない」と、ホワイトハウス向けに伝言した男がいる。中川昭一財務・金融担当相(当時)だ。 中川さんはリーマン・ショックの直後、財務相に就任。同年10月10、11日両日、ワシントンを訪問、先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議などに出席した。 10日昼には、ポールソン米財務長官と会談。長官はリーマンの余波で経営危機に見舞われた金融大手、モルガン・スタンレーの破綻阻止で頭がいっぱいだった。当初は中国の国家投資ファンド、中国投資有限責任公司(CIC)に救済出資を求めて交渉していたが、返事ははかばかしくない。 そこで、ポールソン長官はブッシュ大統領に対して「大統領の方から直接、胡錦濤国家主席に電話して協力を要請することになるかもしれません」