物が売れない時代になった。お客様は本当に欲しいものしか買わない。売れないだけでなく、売れ行きに対応するのが難しい時代にもなった。何が売れるかの予想が当たらないし、急に売れたり、急に売れなくなったりする。商品を売る小売業も、商品を在庫し物流する卸業も、商品を生産するメーカーもやりにくい時代になった。売り上げも増えないし、利益を出すのは至難の業である。 需要が旺盛な高度成長期は良かった。メーカーはマーケット調査をし、商品を企画し需要を予測すれば、結構当たったし、マスメディアで広告すれば大ヒットする商品もたくさん出た。卸業は、在庫計画も立てやすく、リスクも少なかった。メーカーの帳合制(メーカーが卸を通じて特定の小売業者にだけ販売)や建値制(メーカーが流通の利潤を含めた小売価格を決定)も維持しやすかった。 小売業は店舗を作って、そこそこの商品を並べておけば何でも売れたし、価格を安くすれば飛ぶように