生きていることはつらい。そう思う。なぜなら人と比べてしまうから。自分は自分なのに。でもどうしても比較してしまう。人の心は難儀である。それをもっとも痛感するのは電車内で座れないときでなかろうか。 人は欲を持している。それは欲求御三家として知られる食欲、性欲、睡眠欲などが列挙されること甚だございますが、もちろんその他もろもろありまして、つまり立っていると疲れるので座りたくなるのです。人はこれを座欲と呼びます。 本日、私はすこし早めの電車に乗車した。すると少し早めが功を奏したのか、すこしばかり車内の人口密度がいつもよりも薄く感じた。こういうのをよく「早起きは三文の徳」なんて形容するが、銭よりも精神的にラッキーを得たような心地がして、いつもより朝日が反射する荒川のきらめきが美しく思えた。 しかし座れないのが都内の電車。空いている、といっても座席は埋まっている。やり場のない私の座欲は中空をさまようば