カナダ・ケベック州で65歳の男性が心臓発作を起こした後、モントリオールのマギル大学医療センターに入院した。男性患者は一命を取り留めたが、心不全が悪化し危険な状態が続いていた。心臓移植も検討されたが、ほかにも疾患を抱えているため心臓移植手術には耐えられそうになかった。 11月23日に埋め込み手術が行なわれた。手術は無事成功し、男性患者は危険な状況を脱した。もうしばらくしたら退院できそうな見込みだという。 しかし、1つだけ非常に奇妙なことが生じた。 男性は健康状態も回復しつつあるのだが、バイタルサイン(人間が生きていることを示す数値)の1つである脈拍がゼロなのである。つまり、生きているのに脈拍がない。脈拍がないのに生きている。脈拍がないため、もう1つのバイタルサインである血圧も測定不能。 この男性患者に埋め込まれたThoratec社製の装置は、単一電池ほどのサイズだが、本物の心臓と決定的に違う