抗生剤の効かない細菌による院内感染の疑いで、わずか1年で少なくとも9人の患者が亡くなった。帝京大病院は5月には異変に気づき、内部調査を始めながら、9月まで外部への報告、公表を一切していなかった。病院は対応の遅れを認めたが、感染の事実を伝えられないまま転院した患者もいたという。対応が遅れる間に感染はじわじわと広がっていた。 「命を守る病院でこのようなことをして申し訳ない」 会見冒頭、森田茂穂帝京大病院長らはコメントを読み上げると、深々と頭を下げた。 国や東京都などへの報告や対応が遅いのではないかと問われると、森田院長は「公表すべきであったと言われれば、現時点では、そうすべきだったと思う」と語った。 病院や都によると、最初に患者から多剤耐性アシネトバクターが検出されたのは、今年2月。4〜5月に内科系病棟で10人ほどの患者から検出されたとの報告を受けて、実態調査と対策に乗り出した。 そ