『火垂るの墓』の原作者である野坂昭如は、テレビ局の企画で今は亡き「霊能力者」宜保愛子が「アンネの日記」を霊視するという番組に激怒して抗議したことがある。死者の霊と話ができる人というだけなら面白いと思ったが、興味本位で戦争の悲劇それも子供の犠牲者を興味本位な見せ物のネタするなんてとんでもない、と。 この宜保愛子という人は、もともと塾の教師で、英語が担当だったそうだ。そのうえ会話も堪能で、あの「超能力者」ユリ=ゲラーとも英語で直接話していたといわれる。 この一方で、家族を亡くして悲しんでいる人の相談に乗り、塩と線香で供養する簡単で安価な方法を用い、多くの人を慰め励ましたから「愛の霊能者」と言われた。 ところが、これにテレビ局が眼をつけて見せ物にした。そして、最初は相談料といっても数千円の謝礼だけ受け取っていた人だったのに、高額な報酬を渡されテレビ局の言いなりになったらしい。そういうことで批判さ