その間のすべての文章は、僕の基準では批評ではない。 そう思ってほしい。 それくらい、この作品には一度ガチでぶつかってみたい。そう思ったのだ。 「批評とは政治だ」と種明かしをしてしまった以上、僕の言説はより強い色眼鏡で見られることになるだろう。
ライター・編集者の飯田一史さんとSF・文芸評論家の藤田直哉さんによる、話題の作品をランダムに取り上げて時評する文化放談。前編記事に続いてアニメ映画『この世界の片隅に』について語り合います。 宿命を受け入れる映画なのか、そうではないのか 飯田 近いのに遠いというか、隣なのに別世界。そういうことの連続を描いている作品ですよね。原爆が落ちた広島の隣の呉、同じ「鈴」という名前を持ちお互い貧乏暮らしをしていたのにかたや遊郭で働いているりん、不発弾でとなりで亡くなる晴美。そういう人たちがいるなかで生きているからこそ彼女は「この世界の片隅」にいるのだと思っているという気がする。もしかしたら死んでいたのは自分だった、という場所に誰だって本当は生きていることを思い起こさせる。 藤田 そうですねぇ…… 生きるも死ぬも、どんな境遇に生きるのかも、ほんの紙一重だっていうのが、よく伝わってきますね。まったいらになっ
「君の名は。」が、アニメとしては久々の大ヒット作となっている。8月26日の公開から人気は衰えず、累計興行収入も11月21日時点で189億円を突破し、「もののけ姫」の国内6位(興収193億)の記録に迫る勢いだ(映画.com)。海外でも続々と公開が始まっており、ストーリー、映像の両面で高く評価されている。 ◆海外での上映も多数。中国では異例の扱い 「君の名は。」は、田舎に住む女子高校生の三葉と、東京に住む男子高校生の瀧が入れ替わってしまうという設定で始まる。幾度も入れ替わるうちに、お互いが繋がっていたと気づいた瀧は、三葉に逢いに行くことを決心するが、その先には意外な真実が……という流れで、コメディタッチから驚きの結末に向かう展開となっている。 日経アジアンレビューによれば、アジアを始め、イギリス、アメリカなど89ヶ国で公開が決定しており、10月末から上映が始まった台湾では、1998年のホラー「
ライター・編集者の飯田一史さんとSF・文芸評論家の藤田直哉さんによる、話題の作品をランダムに取り上げて時評する文化放談。前編記事に続いて、映画『聲の形』について語り合います。 先行作品からの影響関係から見る映画『聲の形』 飯田 今まで山田監督が「ホドロフスキーやシュヴァンクマイエルが好き」とインタビューとかで言っていたのを読んでも「どこがですか? シュヴァンクマイエル作品で生肉が楽しそうに踊るところと『けいおん!』のキャラのかわいい動きが対応しているとか???」ってよくわからなかったけど、今回初めてわかりましたね。 藤田 え、どこ? 飯田 水にぼちゃんぼちゃん重たいものが落ちて跳ねたり、水のゆらめきの反射が壁や女の子に映るのはシュヴァンクマイエルの『アリス』だったし、ホドロフスキーの『ホーリーマウンテン』みたいに札束燃やすシーンがあったでしょ!!! 藤田 『ホーリーマウンテン』で、裸の女性
まんが「聲の形」に散りばめられたさまざまな伏線・謎・ネタについて考察していく、聲の形ファンブログです。 さて、聲の形にはいろいろな批判があって、そのなかには「確かにそうだな」というものもあれば、「それはこの作品の特質と考えるべきでは」と思うものもあります。 ここでとりあげようと思っているのは、私が「後者」だと感じる、典型的な意見のなかの1つです。 いわく、「この作品に出てくるのはクズばかりでみんなひどいことをやっているのに、手ひどい罰を受け、償いをさせられているのは将也ばかりで、不公平だし不正義だ」といった批判です。 これと連なる批判として「将也は植野とか島田に報復し、植野や島田らは自分の過ちを後悔し反省・謝罪すべきだ(そういう展開にならなかったのはおかしい)」といったものもあると思います。 確かに、作品を振り返ってみたとき、たとえば「いじめ」という行為ひとつをとってみても、作品内で「いじ
「たまこラブストーリー」公開時の2014年から今日に至るまで、未だにこの作品に関する考察が投稿されているのは、もちろんこの作品が愛されているということもありますが、あまりにも多くのメタファーがおぞましいほどに精巧な計算のもとに仕込まれている…という理由が挙げられるべきでしょう。 何も考えずに観てもストレートな傑作青春恋愛映画ですが、何度観ても新たな発見があり、何度観てもわからない…というところがこの映画の魅力なのだと思います。 さて公開当時、上映後にこの映画を教えてくれたKさんとDさんという方たちと、この映画の素晴らしさについて話し合った際(もっとも私は勘が悪いので聞いてばかりでしたが)、まず挙がったのは「大丈夫なんですかね?」ということでした。 ぐるぐる回るもの というのも、多くのメタファーが含まれるこの映画で、比較的わかりやすい「ぐるぐる回るもの」=「変化や未知のものを恐れて逡巡し、一
劇場版は興行収入21億円超、累計動員数120万人を突破 BD発売後も異例のロングランが続く『ガールズ&パンツァー』 「ガルパンはいいぞ」――もはやそう表現するよりほかないほどの快進撃が続いている。テレビ、OVA、劇場版と続いた大ヒットは社会現象とも言える規模になりつつある。そして『ガールズ&パンツァー』の主人公たちが活躍する舞台、茨城県大洗町には日々多くのファンが訪れ、町の人々との交流があちこちで見られる。 どのようにして地方都市「大洗」とアニメ「ガルパン」は幸せな関係を築くことができたのだろうか? その中心人物の一人、バンダイビジュアルの杉山潔プロデューサーに詳しくお話を伺った。 1962年生まれ。大阪府出身。バンダイビジュアル所属。航空・軍事に造詣が深く、「AIR BASE SERIES」をはじめとするドキュメンタリー作品を多く手掛けている。アニメの担当作品には『青の6号』『戦闘妖精雪
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