大人ならだれもがかつて親しんだ「鬼ごっこ」。いま子どもの体づくりに最適の「プログラム」として注目されているという。外遊びの減少で子どもの体力、運動能力の低下が指摘されており、スポーツより参加しやすい鬼ごっこで体を動かそうと、授業に取り入れる学校もある。【田村佳子】 「鬼ごっこなんてその辺で誰でもやってるだろう」とあきれる向きもあるかもしれないが、実態は少し違う。ベネッセ次世代育成研究所が昨年、乳幼児を持つ母親を対象に行った調査によると、幼児(4~6歳)で鬼ごっこや缶けりをよくするのは35%にとどまった。福岡県が10年前に公園と小中学校の校庭計150カ所で専門調査員による観察調査をしたところ、鬼ごっこをしていたのはわずか2・5%だった。 子どもの体力や遊びに詳しい山梨大学の中村和彦教授は「缶けりやゴム跳びも含め、伝承遊びはほぼ消滅した。体育で習うことはあっても、子どもの遊びではない」と話す。