闇勢力排除に乗り出した安藤隆春・警察庁長官が目下、注視するのが震災復興事業だ。国の試算によると今後10年で23兆円が注ぎ込まれるという巨大事業には、暴力団の影がちらついている。 仙台駅にほど近い、あるホテルのロビーカフェ。数か月前まで震災避難者や被災地ボランティアの拠点だったこの場所に、何やらものものしい雰囲気が漂う。スーツを着込んだ数名の男たちが3組。それぞれ真剣な面持ちで顔を付き合わせている。その中の一人は、剣呑な視線を記者に向けた。 「眼あわせると絡まれるからやめたほうがいいよ。ここは今や、ヤクザの溜まり場になっているからね」 そう注意してくれたのは、地元建設業者である。 「随分前から、ヤクザは、多くの復興事業に関わっている。ガレキ撤去を関連業者に入札させようとしたり、派遣労働者からピンはねしたり……。でも、ホテルに巣食っているのは地元の人間じゃない。名古屋あたりからきている連中だな