2008年秋のリーマン・ショック後、中国が打ち出した4兆元(当時のレートで約57兆円)の景気対策は「世界を救った」とされた一方、中国では地方政府や国有企業の債務を急増させ、不動産バブルといった後遺症ももたらした。習近平(シーチンピン)指導部は改革に着手したが、米中摩擦の激化で景気の先行きに暗雲がたれこめ、再び投資による景気対策に追い込まれつつある。 景気対策頼み、米中摩擦で再び 江蘇省蘇州市。上海ガニの産地・陽澄(ヤンチョン)湖の南にできる夷亭路(イーティンルー)駅から地下鉄新線の建設が始まる。S1号線を東に向けて建設し、30キロ先に終点がある上海地下鉄11号線に接続する。 ただ、すでに蘇州と上海の間には高速鉄道(中国版新幹線)に加え、通常の列車やバス便もある。そのため、新線建設にも地元の反応は鈍い。レーザー機器メーカーに勤める金さん(24)は「上海まで地下鉄は時間がかかって不便。高速鉄道