ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (4)

  • やり直せない過去は変えてしまえばいい『グレート・ギャッツビー』

    おっさんになって再読すると、違った面が浮かび上がって面白い。 若いころに読んだときは、自己中男の醜さや、頭空っぽの女の美しさが印象的だった。自己陶酔的な語り手に鼻白んだことも覚えている。 だが、いま読み返すと、ギャッツビーのひたむきな愛が眩しく、可愛そうなくらい未熟で愚かに見える。人生を折り返して、やり直したくてもできなくなった親爺からすると、ギャッツビーの愚かしさは、一周回って愛おしいものになる。 ギャッツビーを「愚か」というのは言い過ぎじゃない? そういうツッコミが聞こえる。 貧乏な生まれながら身一つでのし上がって大金持ちになったギャッツビーが、有り余るカネを湯水のように使って夜な夜なパーティを開く―――愚かに見えるかもしれないが、ちゃんと理由があるからで、それを「愚か」と呼ぶのは言い過ぎだろう……というツッコミだ。 しかし、私が「愚か」と感じるのは、そこじゃない。例えば、語り手である

    やり直せない過去は変えてしまえばいい『グレート・ギャッツビー』
  • たった一冊で「生活の質」を底上げする『TEST the BEST』

    どんな包丁を使ってる? 私は amazon で見つけたステンレスのやつ。「三徳包丁」で検索したら大量に出てきたので、上の方にあった値段が手ごろなやつを買った。10年以上も前の話だ。 毎日使っているのだが、研ぎ方が悪かったのか、切れ味がイマイチに感じられる。新調しようと amazon を覗いて、フと気づいた。 「三徳包丁」だけでも500種類ある 新しい包丁は、毎日使うし、ずっと使っていく 良いものが欲しいけど、お金はそんなに出せない 「価格」「刃渡り」「素材」などで、検索結果を絞り込むことはできる。絞り込んでも100種類ぐらいになる。買うのは一つだけで、買ったらそれを10年くらい毎日使っていくのだから、良いのがいい。 もちろん、それなりにお金をかければ、品質的には十分なものが手に入るだろう。だが日用品にべらぼうなお金は出せない。いつもと同じぐらいの値段で、その価格帯で最も私に合ったものを選び

    たった一冊で「生活の質」を底上げする『TEST the BEST』
  • この本がスゴい!2022: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    「いつか読もう」はいつまでも読まない。 「あとで読む」は後で読まない。 積読をこじらせ、「積読も読書のうち」と開き直るのも虚しい。人生は有限であり、が読める時間は、残りの人生よりもっと少ない。「いつか」「そのうち」と言ってるうちに人生が暮れる。 だから「いま」読む。 10分でいい、1ページだっていい。できないなら、「そういう出会いだった」というだけだ。「いま」読まないなら、「いつか」「そのうち」もない。 に限らず情報が多すぎるとか、まとまった時間が取れないとか、疲れて集中できないとごまかすのは止めろ。新刊を「新しい」というだけの理由で読むな。積読は悪ではないが、自分への嘘であることを自覚せよ。「いま」読むためにどうしたらいいか考えろ。「」にこだわらず読まずに済む方法(レジュメ、論文、Audible)を探せ。難解&長大なら分割してルーティン化しろ。こちとら遊びで読書してるんだから、仕事

    この本がスゴい!2022: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
    heisenberg18
    heisenberg18 2022/12/01
    “書評全文:寝る前の眠れなくなるボルヘス『記憶の図書館』 ”
  • ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』

    夢中にさせて寝かせてくれず、ドキドキハラハラ手に汗握らせ、呼吸を忘れるほど爆笑させ、ページを繰るのが怖いほど緊張感MAXにさせ、いしばった歯から血の味がするぐらい怒りを煽り、思い出すたびに胸が詰まり涙を流させ、叫びながらガッツポーズのために立ち上がるほどスカッとさせ、驚きのあまり手からが転げ落ちるような傑作がこれだ。 この世でいちばん面白い小説は『モンテ・クリスト伯』で確定だが、この世でいちばん面白いファンタジーは『氷と炎の歌』になる。 書いた人は、ジョージ・R・R・マーティン。稀代のSF作家であり、売れっ子のテレビプロデューサー&脚家であり、名作アンソロジーを編む優れた編集者でもある。 短篇・長編ともに、恐ろしくリーダビリティが高く、主な文学賞だけでも、世界幻想文学大賞(1989)、ヒューゴー賞(1975、1980)、ネビュラ賞(1980、1986)、ローカス賞(1976、1978

    ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』
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