「代弁ではなく、言語化なんだと思います。モヤモヤして、どのように言葉にしていいか分からないことを言語化するのが、人より若干得意なんだろう、とは思っています」 「とりわけ女性の声を代弁されていますが……」との聞き手のありきたりな前振りに、ジェーン・スーは素早く切り返してくる。ラジオパーソナリティ、コラムニストとして活動し、作詞家、音楽プロデューサーの顔も持つ。何をやっている人なのかと問われても、一言では答えられない。「何者かと問われても、はっきりしない自由度をこのまま持ち続けたいですね。ただし、自分の言葉で話す人ではありたいと思っています」と語る。その一方で「本名の自分が“ジェーン・スー”をプロデュースしている感覚がある」とも言う。見えそうで見えない、その正体を探った。(文:武田砂鉄/Yahoo!ニュース編集部/文藝春秋)