生物多様性の喪失と聞けば、熱帯雨林やサンゴ礁が目に浮かぶ。絶滅危惧種と聞けば、中国奥地のジャイアントパンダやガラパゴス島のゾウガメを思いつく。しかし、そうした危機的な状況は遠い異国の話とはかぎらず、もっとずっと身近なところで起こっている。私たちの体は無数の微生物からなる「生態系」であり、そこでも種の絶滅は静かに進行している。 2003年にヒトゲノム・プロジェクトが完了したとき、研究者たちはヒトの遺伝子が線虫と同じ、21,000個しかないことに驚いた。ヒトはなぜ、そんなに少ない遺伝子でこんなに複雑な生命活動ができるのだろう? そのカギは、体内に棲む微生物に多くの活動を「アウトソーシング」していることにあった。 赤ん坊は産道を通るとき、母乳を飲むとき、母親から微生物一式を受けとり、その微生物集団と共に成長する。ところが最近では、赤ん坊がその微生物一式を受けとれなかったり、せっかく育ったコロニー
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