『震災風俗嬢』(小野一光/太田出版) 風俗に足を運ぶ男性の動機はさまざまである。もちろん、その大半は性欲処理ではあるのだが、中には想像もつかないような傷を紛らわせるために、人肌を求めている男性もいる。 『震災風俗嬢』(小野一光/太田出版)は、東日本大震災の直後から現在にかけて、被災地の風俗店で働く女の子(本書では一貫して風俗嬢のことをそう呼ぶ)を追ったルポルタージュである。かねてから風俗嬢の取材に定評があった作者だけにその切り口は深く、むきだしの人間の姿を浮き彫りにしていく。読む人は「性」という新たな着眼点から、被災地の癒えない痛みと、それでもなお前に進もうとする人間の意志に胸を打たれることだろう。 本書を読み進めてまず驚かされたのは、震災後、営業を再開した風俗店の迅速さだ。本書で取材された風俗店は早いところで震災の1週間後、その他の店も1カ月以内には営業を再開しているところが多い。著者自
![知られざる被災地のドラマ。風俗嬢から見た3.11後の光景 | ダ・ヴィンチWeb](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ee0e5921ea1ec964f7f2749308dd85d48baeaf85/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fddnavi.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2016%2F08%2F81azoCOQaUL.jpg)