宮本武蔵が書き残した「五輪書」からは、武蔵が実践的求道によって得た、その合理性を伺うことができる。 五輪書は地、水、火、風、空の巻の五巻からなり、地の巻は総論、水の巻は二天一流について、火の巻は勝負論、風の巻は他流のこと、空の巻は結論がそれぞれ述べられている。 特に、地の巻きの書き出しについては「五輪書の序にあたるくだり“兵法の道二天一流と号し云々から、寅の一天に筆を把りて書き始むる”に至るあたりも文章の格調の高さ、文体のしまって簡潔な表現力はまことに見事である」と著名な小説家も絶賛している。 植芝盛平は日本古来の武術を遍歴会得し、更に精神的修行を加えて合気道を編み出す。盛平は著書「武道練習」に自ら得た武道奥義を歌に詠んだ。 武道練習には三十八首の歌が収められ、技法真髄として立業(正面、横面、肩、胸元取り、手頚を掴む事)、後業、後襟の解説と、座り業、半身半立、立業の百六十六技が図説で書かれ