即興小説トレーニングで書いた作品を手直ししたものです。 ハガキ塗れの年末年始 冷たい空気をかきわけて、門の裏まで歩く数秒が億劫だ。ぶかぶかのサンダルから飛び出る足先が凍ってしまいそうで、私は急ぎ足でポストに向かう。 蓋を開ければ、紙の塊がギチギチに詰まっていた。輪ゴムで束ねられた大量のハガキは、使いづらい辞書のようだった。 うちの血筋は、やたらめったら兄弟姉妹が多い。おじさん五人、おばさん四人に甥と姪を合わせて一ダース。私の両親は、互いに大家族の末っ子である。 それに加えて祖父・祖母の中で一人っ子がいないものだから、ちょっと遠い親戚まで合わせると実に膨大な数がいた。もちろん私は把握しきれてないし、父母にも各々知らない親戚もいるだろうし、便りを送ってこない人もいるだろうし。親戚というものはたくさんいすぎても困りはしないが、少しくらい抜け漏れがあっても何の支障もないのである。 うんうんうなりな
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く