『諸君!』8月号に新井弘一氏(元外務省東欧第一課長)が参加した鼎談(ていだん)「<拉致された国土・北方四島>を諦(あきら)めてなるものか!」が掲載されている。その中で新井氏は、対露経済支援を非難する。 〈残念ながら、領土問題の環境整備と称して、日本は対ロ経済支援をするようになり、そこに鈴木宗男衆議院議員の活躍の舞台が用意された。東郷和彦氏(元外務省欧亜局長)、佐藤優氏(元外務省国際情報局主任分析官)も、そこに絡んでくる〉という新井氏の記述は、事実誤認と言うよりも意図的な情報操作だ。領土問題の環境整備として経済カードを使うという戦略は73年の田中・ブレジネフ会談のときに新井氏が組み立てたものだ。さらに、鈴木宗男氏は対露経済支援が本格化するよりもずっと以前から北方領土問題に取り組んでいる。 新井氏は北方領土交渉が停滞した理由について考察する。 〈近年の日ロ交渉の停滞を招くについて、
現役外交官時代、筆者は「外交は素人にはわからない。必ず成果を出すのでわれわれを信頼してほしい」と考え、閉ざされた扉の中で、北方領土問題をめぐってどのような交渉がなされたかについて国民に対して説明する必要はないと考えていた。これは誤ったエリート意識であり、外務官僚のおごりだった。 例えば、日本政府は、1991年秋以降、ロシアに対して四島一括返還を要求していない。北方四島に対する日本の主権が確認されるならば、返還の時期、態様、条件については柔軟に対応する、すなわち四島一括でなくても北方領土問題の解決は可能であると国策を転換した。しかし、政府も外務省も国民に国策転換を十分に説明しなかった。その結果、2001年の田中真紀子外相の登場、02年の鈴木宗男疑惑の過程で、鈴木氏、東郷和彦氏(元外務省欧州局長)、筆者たちが国是に反する売国外交を行ったと非難される状況になった。結局、それが鈴木氏と筆者が逮
■イスラエルの緊張感に学ぶ 筆者が論壇で尊敬している一人に潮匡人(まさと)氏がいる。潮氏は論評の対象となるテキストの内在的論理を正確にとらえた上で、建設的な批判を行う。潮氏は、党派的立場から「批判のための批判」を行うのではなく、論壇で立場の違う人々が対話を行う土俵を作る努力を怠らない。 7月1日発売の『正論』(産経新聞社)8月号に掲載された潮氏の「なぜ日本を愛せないのか 愛国心を忌避する人々の“病理”」を読んでそのことを再認識した。潮氏は愛国心について根源的な問題提起をする。 〈護憲リベラル派の中には、日本脱出を語る者さえ現れた。 《教育基本法を変え、有事法制を作り、いま憲法までが変わろうとしている。それで、果たしていいのか。それを承知の上で、それでも日本にはいま「愛国心」が必要だ、というなら私にはもう、言うべきことばはない。そうなったときに日本に住み続けるかどうかは、それ
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