『諸君!』8月号に新井弘一氏(元外務省東欧第一課長)が参加した鼎談(ていだん)「<拉致された国土・北方四島>を諦(あきら)めてなるものか!」が掲載されている。その中で新井氏は、対露経済支援を非難する。 〈残念ながら、領土問題の環境整備と称して、日本は対ロ経済支援をするようになり、そこに鈴木宗男衆議院議員の活躍の舞台が用意された。東郷和彦氏(元外務省欧亜局長)、佐藤優氏(元外務省国際情報局主任分析官)も、そこに絡んでくる〉という新井氏の記述は、事実誤認と言うよりも意図的な情報操作だ。領土問題の環境整備として経済カードを使うという戦略は73年の田中・ブレジネフ会談のときに新井氏が組み立てたものだ。さらに、鈴木宗男氏は対露経済支援が本格化するよりもずっと以前から北方領土問題に取り組んでいる。 新井氏は北方領土交渉が停滞した理由について考察する。 〈近年の日ロ交渉の停滞を招くについて、