生物生態写真家の栗林慧(くりばやしさとし)さんが撮影した昆虫たちが登場するコーナー。 ⇒【画像】奴隷狩りを繰り返す昆虫「サムライアリ」の口元 幼虫やサナギを運ぶためだけに特化した形 ごく近代まで、文明人が未開人を奴隷として働かせていたという忌まわしい記憶が残っていますが、これは人間だけが持つ知性の中の欲望から生まれたといってよいでしょう。ところが、この奴隷という行為が昆虫界にあったとしたら誰でも驚くことでしょう。 ここに紹介するサムライアリは、別種のクロヤマアリを完全な奴隷として働かせて生活しています。真夏の午後、クロヤマアリが出入りして働いている巣から、突然無数のアリが湧き出るように出てきたかと思うと、一定の方向に一斉に走りだします。数百匹が何メートルも、時には何十メートルもどんな障害物をも乗り越えてまっすぐに進みます。その先にあるクロヤマアリの巣の中になだれ込むように入っていき、しばら