旅行業者向けシステムに含まれるリレーショナルデータベースの著作権侵害が争われた事例。 事案の概要 かつてXの従業員として働いていたYらが,退職後にY会社を設立し,旅行業者用システム(Yシステム)を開発,販売した。Xは,Yシステムに含まれる行程作成業務用データベース(YDB)は,Xが著作権を有するデータベース(XDB)を複製したものであるとして,Y会社に対して,複製・頒布等の差止を求めるとともに,Yらに対し,9億円余りの損害賠償を求めた。 XDBは,いわゆるリレーショナルデータベースであり,42個のマスターテーブルから構成され,そのフィールド数(項目数)は405個ある。 一審(東京地判平26.3.14(平21ワ16019)は,Yシステムのバージョンのうち,「新版」を除く部分について,データベースの著作物に関する著作権侵害を認めた。 ここで取り上げる争点 (1)著作権侵害の有無 (2)損害の額