間接雇用の禁止 戦前には、請負形式で労務供給を目的とする「業務請負」(現在の業務委託・業務処理請負などに類似したもの)による「間接雇用」が広がっていました。その結果、雇用・労働をめぐって次のような重大な弊害を生んでいました。 (1)強制労働の弊害 「労務供給業」と呼ばれていました。「組請負」などの形式で、組の親方が、単純労務に従事する労働者を工事現場や工場などの注文者に提供するという形式です。まさに、人権を無視した労働形態です。「飯場(はんば)」や「タコ部屋」と呼ばれる宿舎に労働者を拘束し、厳しい労働から逃れるようとする者を許さない「強制労働」の弊害が一つです。 (2)使用者責任の潜脱 大正から昭和の最初の時期に、戦前には数少ない労働者保護法(「工場法」と「健康保険法」)の適用が広がりました。工場主ら経営者は、法律が強制する使用者責任をとることを嫌って法律の適用を受けない労働者を受入れて実