「富めば嫉視され、貧しければ蔑視される。力があれば憎まれ、力がなければしいたげられる。君主への忠誠がかならずしも正義でないことを、他国の歴史がおしえている…そういう時代なのである」 ある小説を読んでいて、この一節で目が止まった。「そういう時代」とは、中国の春秋戦国時代のこと。けれど、「君主」や「他国」の部分を「会社」や「他社」に置き換えれば、そのまま今日の状況を言っているに等しい。そう思えたのである。 一言で言えば、疑心暗鬼。その鬼は、疑われる者、疑う者の両方の心の中に棲んでいる。だから、不正やウソが次々に暴かれる。鬼は、暴かれる側、暴く側両方の心の中に棲んでいる。だから、そのネタは尽きることなく、非難の声も衰えることがない。そんなことを痛感させられた1年だった。誰にも頼まれていないけど、一丁前に今年を総括してみればそんなところか。毎年末に京都の清水寺で書かれる「今年の世相を表す漢字」も「