シーズンが終わると「実はあのとき○○なことがあったんですよ」なんて話を聞くことがある。オフならではだが、ある意味で醍醐味ともいえる。そんな話の1つを紹介する。 それは6月ごろの京セラドーム大阪、試合前だった。いつものようにビデオ室にオリックス・糸井嘉男の姿があった。とっぴな言動から宇宙人と言われる彼だが、実は人一倍、研究熱心という面がある。スコアラーと一緒に対戦する投手の投球ビデオなどを見るのが日課だ。 その日も相手投手のビデオを見ながら「けん制のクセとかないの?」なんて、聞いていたらしい。と思ったらスコアラー陣に向かって突然「あれ、カザマは?」と尋ねた。 その部屋のいた全員の頭に「?」が浮かんだ。カザマという名前の人物はスコアラーにいないし、そもそも球団のスタッフや出入りの業者にもいない。 その微妙な空気を察した発言者。「ほら、カザマやん。サイン出す人」と言った。一瞬の間があって一同が納