東本京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日本最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「飛 礫(つぶて)」 18 三日後、出かけてたお銀が帰ってきた。 「龍蔵ハン、こないだ来た親子、新今宮にいてましたで。 動物園前に用事があって電車に乗りましたんや。 電車内では気づかんかったけど、降りたとこが一緒やったんで分かりましたんや。 親子で釜ヶ崎の方へ行きましたで、声をかけようかと思たけど、 何や急いでるみたいやったから見送りましたんや」 お銀の話に、龍蔵が反応を示した。 「こないだ会うたとき、どこに住んでるんか訊かんかったんや。 釜に住んでるんか?」 「用が有ったんかもしれんし、釜に住んでるとは言い切れませんで」 「そらそうやけど