東本京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日本最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「飛 礫(つぶて)」 28 「まぁ上がって下さい、冷(ひや)やけどお酒を入れますわ」 部屋に入った二人に、三重子が接待した。 「あんまり気を使わんで宜しいで。 今日は、御馳走になりに来たんやないからな。 ワシの話しは、想像がついてると思うんや。 忍ちゃんに聞かれても宜しいんか?」 「心配は要りません、忍には何でも話して隠し事なしにやってきたんで、 忍ぶもわきまえてます」 「そうか、そんならワシの話しから始めさせてもらいますわ。 昨日の晩はご苦労さんでした」 龍蔵が、酒を口にした。 「見てたんですか? さっき今日の焚き出しは蕎麦やと聞いたとき