東本京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日本最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「暫 (しばらく)」 20 「こいつは坊主ですがな、これが幽霊の正体ですんか?」 亀吉が驚きの声をあげた。 「亀吉ハンの後をつけて、幽霊の真似事してたんはこいつや。 亀吉ハンが塀際の道路を歩く、 この坊主は塀際の墓地の中を歩く。 後をつけて、 塀に開けられた無数の飾り穴から、 亀吉ハンの姿を確認しながらつけたんや。 手に持ったサンダルで塀を叩いて、 足音の効果音を出してたんや。 塀を隔ててつけるんやから、振り向いても姿は見えん」 龍蔵が説明した。 「そやけど、坊主が何でそんな悪さを?」 亀吉が首をかしげた。 「コラッ幽霊、目を覚ませ」 龍蔵が