東本京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日本最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「馬耳東風」 19 「この事件は発生直後から、 他殺と自殺説に意見が分かれた意味が分かりますわ。 捜査の最前線やった警視庁の、 捜査一課と二課で自殺と他殺に別れたように、 警視庁の初動捜査が手ぬるいように感じましたな。 当時はこの程度の捜査しかせんかったんかもしれんが、 血痕の痕跡踏査にしても、調べる範囲が狭すぎますわ。 血痕一つとっても間が抜けた捜査と言わざるを得ませんな。 犯人の指示で末広旅館で時間つぶしをした事についても、 犯人が近場に居た可能性が高いのに無視したような捜査や」 龍蔵が酒を口にした。 「そうですんや、末広旅館での目撃証言