タバコの紫煙が立ちこめるなか、強面の男たちが寄り添い、額に脂汗を浮かべながら遊戯に熱中する。勝負は一天地六の賽の目次第。無造作に積み上げられた札束が行き交うたびに、狂喜と怨嗟の声が薄暗い室内に響もす――。 東映の実録ヤクザシリーズではおなじみの賭場の光景。が、昔ながらの博徒が廃れつつある昨今の裏社会にあって、この手の賭場が開帳されることはほぼなくなったという。流行り廃りに関係なく、そもそも我々一般庶民にとっては無縁の場所ということもあり、「本当にそんな世界があるのか?」と、異次元の出来事のように捉えている方も多いことだろう。もちろん、記者もその一人だ。旅行ガイド本を見ただけではその国に旅行したことにならないのと同じで、自らが体験することなしに、その世界観を知ることはできない。そんな折、日本伝統博徒である手本引きの再現イベントが実施されることを知った。主催するのは、東京・秋葉原にあるアミュー