ミシンを使って子ども服などの縫製作業をする受刑者=東京・府中刑務所、小林裕幸撮影 3月、大阪刑務所(堺市堺区)を訪れたリサイクル業者が申し訳なさそうに言った。 「そちらに回す仕事が無くなりました」 担当の刑務官は「そんなこと言わず、うちの事情もわかってください。なんとかもう少し……」と懇願した。だが、リサイクル業者は不況で負債を抱えて業務の縮小を迫られており、それ以上頼むことはできなかった。 懲役刑を受けた受刑者には刑法で定められた刑務作業が科され、法務省によると、刑務所内で着る衣服の製造や農作業などを除き、作業の約9割を民間から受注している。 大阪刑務所の受刑者約2300人は、自動車部品の組み立てや鉄骨部材の加工、縫製などの作業をしている。昨夏までは金属など原材料価格の高騰で、家電製品やパソコンの分解・仕分けなどの作業など断るほどの仕事があった。 今年に入って事態は一変。業者