ブックマーク / note.com/onomiyuki (1)

  • はじめて同性とキスした時のこと|小野美由紀|note

    たどり着いたフランスの片田舎の駅のホームは夏の日差しを反射して鏡のように白く、私は炒り豆になった気分で列車が吐き出す無数のバカンス客に紛れ迎えを待っていた。ホームステイ先のホストが迎えにきてくれる、と留学エージェントからの手紙には書いてあった。 夏期休暇に一ヶ月半の語学留学を決めたのは、友達のいない夏の過ごし方を知らなかったからだ。大学はつまらない。滑り止めで受かったこの学校なんかに私の話し相手になる人間はいない。一方でパリを選ばなかったのは、私なぞがあの華々しい街でやっていけるはずがない、と言う卑屈さの裏返しである。当時の私は傲慢と驕りを服の代わりに着、周囲と自分に不満を抱え、それをどこにぶつけたらいいのかもわからない、青白い顔をしたこ生意気な女子学生だった。 陽炎で、ぐんにゃりとレールがゆがんで見える。産毛がちりちりと焼け焦げそうだ。 「Miyuki!」 下の名前を呼ばれて振り返ると、

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