編集担当より 単行本 - 日本文学 穂村弘と「世界の秘密」を探る魅惑――『きっとあの人は眠っているんだよ 穂村弘の読書日記』『これから泳ぎにいきませんか 穂村弘の書評集』 2017.11.28 穂村弘を知ったのは、初エッセイ集の『世界音痴』(小学館、2002年)でした。 帯にはこうあります。〈穂村弘(39歳・独身・総務課長代理)。寿司屋で注文無視されて、夜中に菓子パンむさぼり食い、青汁ビタミン服用しつつ、ネットで昔の恋人捜す〉 当時、独身、平社員、喫茶店で注文無視されて、夜中にすっぱムーチョむさぼり食い、ドクターペッパー服用しつつ、ネットで昔の片思いの人を捜していたわたしにとって、まさにスターの出現でした。 ただ、どうも大きな勘違いをしていました。穂村弘を「もてない男界隈のスター」として親近感と感動を覚えていたようなのです。のちに実際にお目にかかったとき、一瞬で悟りました。「このひとは、ち