なぜ本を読むのか? この疑問に冒頭で答えている、いかにも幅さんらしい。「幅さん」なんて親しげに書いたが、一方的に慕っているだけでお話したことはない。ブックコーディネーターをなりわいとしており、ときどき小さな会を開く([BACH]で告知してる)。その語りを聞けばすぐに気づく、この人、ホントに本好きなんだってね。モノとしての本も含め、本屋から本を解放するのが幅さんのミッションなのだろう。 最初の質問に対し、幅さんはなんて答えたのかというと――― 少なくとも僕にとっては、本を読むこと自体が目的ではない。その読書が、どう自らの日々に作用し、いかに面白可笑しく毎日を過ごせるかの方が重要だと思っている。言い換えると、本よりも人間や毎日の生活の方が好きなのだ。 この姿勢は幾度も耳にする。本を読むことそのものではなく、読んだ後に何をしたかが重要なのだと。何かを読んで、誰かに話したくなって会いにいったとか、