前作『奇麗』を作るにあたって、アヴちゃんは身も心もボロボロになる恋愛を終えて、つまり壮大な"人体実験"を行った。そしてその作品のあとに訪れたのは、ジェンダーの規定をこえて、彼女の奥の方にいた"Q"という少年性が顕在化した作品だった。アヴちゃんは自分の身をもって、誰にでも当てはまる人間という生き物の不可解で愛すべき要素を作家として書き切ることができる人だということが、これまで以上に明確にわかる、それが今回のアルバム『Q』だ。善悪やモラルで割り切れない感覚は誰にでもあり、曖昧で自分を破壊しかねない何かに触れ、泣くことも俯瞰することもできる、まさに最高傑作である。 -前作『奇麗』(2015年3月リリースの4thアルバム)を出したタイミングでもう次の作品のヴィジョンはあったそうですね。 そうですね。あったし作ったんですけれど、それを全部反故にして、(アルバム)『Q』を作りました。実はアルバムの曲は