どこからともなくなんて儚げな風情ではなく、道幅いっぱいがお風呂になったような、風呂の水が川になったような、そんな迫力がある。 通り沿いには大きな建物があり、ゴウゴウと機械の運転音がする。 壁にはずらりとガス給湯器が並んでいて、 よく見ると「浴室」と書いてある 実験室がある建物らしい 室外機にも「浴室」の文字 ここまできてようやく、この建物が何だったのか、いつも車で通り過ぎていたときの記憶と現在地が結びついて、お風呂の匂いの正体がわかった。ああそうだ、バスクリンの匂いだ! 大きな建物はバスクリンの研究所でした! さすが研究学園都市、入浴剤の研究所まで揃えているなんて。車で通り過ぎていたときには、BATHCLINが”あの”バスクリンだったとは全く意識していなかった。 パン屋さんから香ばしいパンの匂い、焼肉屋さんからは脂と煙の匂い、バスクリン研究所からはお風呂の匂い。 研究所というミステリアスな