元々広島のアクターズスクールで生徒に振付を教えていたMIKIKOさん。2005年に発表した初めての演出作品の舞台『DRESS CODE』、PerfumeやBABYMETALの振付やコンサート、テレビCM、ダンスカンパニー「ELEVENPLAY」での作品、2016年のリオ五輪閉会式や「逃げ恥」の恋ダンス……数百にものぼるというすべての作品の中から、3作品を選んでいただきました。 広島時代から考えると、今まで何作品作ってきたんでしょうね。データを取っておけばよかった(笑)。3つ挙げるとしたら、ひとつ目は広島で脚本から演出まですべてを手がけた『DRESS CODE』(2005年)。ふたつ目は、もう1度そういうことをライフワークとしてやりたいと思って立ち上げた「ELEVENPLAY」というカンパニーで作った『MOSAIC』(2014年)。3つ目は、Perfumeのドーム公演『LEVEL3』(201
5万人のなかにポツンと立つ3人を引き立たせた、東京ドーム公演 もともと振付をメインに活動していた私が初めて演出に携わったのは、2005年です。地元の広島で『DRESS CODE』という舞台で演出、振付、脚本、キャスティングなどすべてを手掛けました。 それから何度も演出をしていますが、毎回「どうしてこんなに大変なことばかり起きるんだろう!?」って思いながらやっています。海外公演で一度もリハーサルができないとか、ピンチな状況しかありません(笑)。 2010年に行った、Perfumeの初めての東京ドーム公演、このときもある意味ピンチだったんです。過去にドームの演出を経験しているスタッフにも「バックバンドもバックダンサーもいなくて、3人だけで東京ドームに立つなんてありえない」と言われていました。でも、過去の公演にもプロモーションビデオにも登場したことがないバックダンサーをドームだからといって突然出
昨年夏のリオ五輪閉会式、安倍首相が「スーパーマリオブラザーズ」のマリオに扮して登場したことでも話題になりました。オリンピック旗・パラリンピック旗を引き継ぐフラッグハンドオーバーセレモニーの企画・演出に携わった演出振付家のMIKIKOさんが、椎名林檎さんらと議論した「日本人らしいクールさ」とは。 難しいことを涼しい顔で披露するのが日本人らしいかっこよさ 日本は昔から海外に対する憧れがすごく強かった。だから一生懸命研究して、フォローしてきたら、いつのまにかきちんと超えられていた、という印象があります。それは、研究熱心なところや、細部にとことんこだわるところ、丁寧さなどが日本人は秀でているからだと思いますけど。 日本人らしい演出といえば、リオ五輪閉会式のフラッグハンドオーバーセレモニー。日本人としてどんな演出にするべきか議論をしていたときに、椎名林檎さんから“江戸前”というテーマが上げられて。作
CD が売れない、爆発的なヒット曲がなかなか生まれない……など苦しい状況が続く日本の音楽業界。そんな音楽の現場に身を置き、数々のアーティストの振付・演出を行う MIKIKO さんの目から見た現状と課題とは。 ライブでいかに観客の心を動かせるかがより重要になってきた 個人的な意見としては「勢いがない」とはまったく思いません。 私の周りのアーティストは皆、良い音楽を生み出そうと情熱をかけていらっしゃるし、実際に素晴らしい楽曲もたくさん生まれていると思います。 ただ、誰でも簡単に発信出来る世の中だからこそ、生で観て体験する「ライブ」でいかに心を動かせられるかが、より如実になってきている印象もあります。 日本のライブシーンもいろんな技術が進化して、「派手」で「かっこいい」ライブはちょっと頑張れば作れるのかもしれないけれど、そこに立つアーティストの技量がくっきり浮き彫りになるので、演出過多なことが逆
新曲『TOKYO GIRL』をはじめ、Perfumeの全楽曲の振付を担当しているMIKIKOさん。広島のアクターズスクール時代から今日にいたるまでの十数年間、ともに過ごしてきた彼女たちへ今、思うこととは。 Perfumeがいなければ振付を発表することもできなかった もう16、7年の付き合いになるでしょうか。苦楽を共にしてきたというか、夢を叶えるまでの大変さも、夢を叶えた後の大変さも、現在も。たくさんの喜びを教えてもらいながら、彼女達と全部を共にしてきていますから。もはや家族の領域ですね。 そして、私が今、こうやってインタビューを受けられるのも、Perfumeのおかげです。Perfumeがいなかったら、私がやりたい振付を世の中に発することはできなかったので、そういう意味でも感謝しています。だからこの先、なにがあっても助けようとも思っています。もしも彼女たちがPerfumeを辞めることがあった
家ではリズムがない静かな曲でリラックス ずーっと音楽を聴く仕事なので、実はあまり、プライベートでは音楽を聴かないんです。よく驚かれるんですが……。音楽を聴くと、そちらに気をとられてしまうので、何かを聴きながらものを書くということもできない。私のダンスカンパニー「ELEVENPLAY」ではNOSAJ THINGさんのミュージックビデオを作ったり、舞台公演でAmetsubさんやevalaさんに音楽を書き下ろしていただいたり、ビートミュージックのシーンとすごく接点があるんですが。そうした公演や、ダンスレッスン、振りを作る時にはメリハリのあるビートミュージックを聴くことが多いですね。 だから逆に、仕事を離れるときには静かなほうがよくて。家でも無音のことが多いですね。聴くとすれば、リズムがない、静かな曲。全ての仕事が終わって、ストレッチをするときなどに、コトリンゴさんやYJY(Young Juven
アーティストの楽曲やCMなどの振付、舞台の演出など、日々膨大な仕事と向き合っているにもかかわらず“スランプ知らず”という演出振付家のMIKIKOさんに、仕事がうまくいくコツを教えていただきました。 毎回、絞り出すようにアイディアを湧かせている 実は“スランプ”ってどういう状態なのかよくわからなくて(笑)。「今日はテンションが低いな……」という日はありますけど、「どうしても振付が思いつかない!」ということはないです。 なぜなら「思いつかなくてもやらなきゃいけない」と開き直ってるから。アイデアが湧いてくるのを待つのではなく、毎回、どうにかしてアイディアを湧かせています。吐くように、絞り出すように考えています。私には向いていないんじゃないかと思うときもあります。でも、何かを作るときって、みんなそうなんじゃないかと思います。 演出に関しては、「成功させる」ということ以外に選択肢がないので。スランプ
踊ることに命をかけている感情への憧れは常にあった 私が演出振付家になる前は、アクターズスクールでインストラクターをする一方で、プロのダンサーとして活動していました。ダンスコンテストに出場して優勝したり、MAXのバックダンサーのオ ーディションを受けて「VAX」というユニットを結成し、全国ツアーや紅白歌合戦に出場したり……。 ステージから見る景色の素晴らしさや自分を磨くことの楽しさを感じてはいたものの、 表舞台に立つよりも、裏側で舞台を作るほうが好きなことにあるとき気がついたんです。幼いころから楽屋や舞台裏を見るのが好きだったことが根底にあるのかもしれませんが、客席の後ろ、操作卓側から舞台を見ているほうが興奮するんです。 何かを積み重ねていく作業は好きなので、自分が踊ることに対してには、練習をすればするほど上達するというおもしろさはありました。でも私は「ダンスがないと生きられない」という人間
さまざまなアーティストの振付を手がけるMIKIKO さん。その中には高度なダンススキルが求められる難しい振付も多く、見る側を楽しませてくれますが、そこにはどんなねらいがあるのでしょうか。 ファンの予想をいい意味で裏切って、楽しんでほしい Perfume やBABYMETAL のファンの方たちの予想を、いい意味で裏切れるように、っていうのを楽しみながらやっているところはあります。ファンの方たちがさんざん曲を聴きこんだ後に、ミュージックビデオが公開されて、さらにその後ライブがあるので、ファンの方たちの脳内では「どんな演出なんだろう」と、ものすごくシミュレーションがされていると思うんです。そうしてライブで初めて実際に踊っているところを目にするわけですから、その予測の上をいきたいな、と。 具体的には、「存在しない音」の振りを加えてみたりしていますね。音が終わったあとに、決めのポーズを入れたり。そう
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く