私の学生のころのマクロ経済学の教科書は、短期の理論しか書いてなかったが、最近の教科書はマンキューのように長期の成長理論から入り、その長期トレンドからの乖離として短期的な景気変動を扱うものが増えてきた。大学院の教科書は、20年前のBlanchard-Fischer以来、そういう構成になっている。最近は中級の教科書でも、JonesのようにIS-LMをやめて潜在成長率の概念をコアにするものが出てきた。 日本の経済政策を考える上でも、現状が潜在成長率に近いのか、それともそこから(上方あるいは下方に)乖離しているのか判断することが出発点である。ただし厳密に潜在成長率を推定することは容易ではないので、内閣府のGDP速報値をもとに、ざっくり推定してみた(専門家には怒られると思うが)。 図のように昨年10−12月期の実質GDPを1995年からのトレンドと比べてみると、潜在成長率からの下方への乖離という