学校文法においては,「食べる」の語幹は「食べ」になります.派生文法においても語幹は「tabe」であり,学校文法の場合と同じになります.そして語幹が母音で終わりますから,こうした語幹を母音幹と呼びます. 以上のように,学校文法における五段動詞と一段動詞を,派生文法ではそれぞれ子音幹動詞,母音幹動詞*3と呼びます. 連結子音と連結母音 語幹を音素単位で考え子音幹動詞と母音幹動詞に区別するのは,他の音韻論的文法でも共通です.派生文法の特徴は,接尾辞の考え方にあります.接尾辞とは,語の後に付いて新しい語を作る要素です.上の二つの表においては,例えば終止形の欄にある「書く(kak-u)」における「-u」,「食べる(tabe-ru)」の「-ru」がそれぞれ接尾辞になります. 今,「-u」と「-ru」を別々の接尾辞であると書きましたが,派生文法ではこの二つの接尾辞がもともと同じものであると考え「-(r)