きし・のぶひと●1949年生まれ。73年東京外国語大学卒業後、読売新聞社入社。大蔵省、日銀などを担当。91年に独立。経済ジャーナリストとして技術開発、雇用問題、知的財産権などをテーマに執筆活動を続けている。『知財の利回り』『特許封鎖』『税の攻防』など著書多数。 それだけに財務省を描いた本は数多い。だが、中身をエリートたちの「出世」と「人事」に絞って詳細に語ったものは、おそらく本書が初めてだろう。財政赤字問題や消費税論議などの小難しい話はなく、論旨が明確なので読みやすい。しかも、30余年に及ぶ取材をもとに描かれているので中身も濃い。 「新聞記者時代に大蔵省(当時・以下同)担当になったものの、30歳そこそこの若造が、主計や主税、理財局などにいって官僚と話をしても、何を聞いていいのかわからない。会話が続かないんです。夜討ち朝駆けもやっていましたが、相手の懐に入っていけなかった」 夜討ちが空振りに