今、中学や高校の教室内には「見えない地位の差」がある。同学年なのに“上下”のグループ分けが出来上がり、全員がそれを受け入れる。「スクールカースト」と呼ばれるこの差別的な悪しき文化はどのようなものなのか。話題書『教室内カースト』の著者である気鋭の教育社会学者・鈴木翔氏が解説する。 * * * 「『下』には騒いだり、廊下で笑ったりする権利が与えられていないんです」 高校時代、自分が下位グループだったという女子学生は、生徒のグループごとに上位・普通・下位のランクがあり、ランクに応じた「権利」が決まっていたと語る。 「下」は「上」の主張に異議を唱えられない。授業中にいきなり先生に話しかけていいのは「上」だけ。行事などの準備が面倒くさければ「上」は帰れるけれど「下」はダメ……。そんな暗黙のルールがあるという。 「下」が廊下で騒いだりすれば「上」から目を付けられ、教室内でお喋りをするなどの「今ある些細