一世を風靡(ふうび)した任天堂のテレビゲーム機「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)の発売から30年を迎えた。 『ファミコンとその時代』(NTT出版)の著者の一人で、日本デジタルゲーム学会長の細井浩一・立命館大教授は「現在の社会につながる原点の一つで、大きな意義がある。娯楽であり文化であり産業でもあるゲームを、きちんと研究すべきだ」と語る。 1983年7月に発売されたファミコンは、2003年の製造中止までに6191万台を売り上げ、ソフトも約5億本を売った。ブームとなった理由には、子どもたちの劇的な環境変化があったと細井教授は指摘する。 塾や習い事に忙しく、空き地の減少に少子化などで、発売当時は時間・空間・仲間の“3間(さんま)”が激減していたという。その分、テレビの視聴時間が増え、テレビで完結する遊びが受容される素地があったと説く。耐久性のある十字キーのコントローラーなど製品の完成度も高