岡嶋裕史著『ポスト・モバイル ITとヒトの未来図』(新潮新書 2010年7月刊) かつて、「第5世代コンピュータ」という国策プロジェクトがあった。コンピュータのCPUが真空管、トランジスター、IC・LSI、超LSIと進化したあと、次の第5世代に登場するコンピュータを先取りしようという試みだった。 570億円を投じたプロジェクトは社会に大きなインパクトを与えることなく1992年に終結するのだが、いまからふり返ってみると、本当の「第5世代」はインターネットの普及だったのではないか、と思う。 そのインターネットの歴史をひもといてみると、やはりいくつかの節目があった。インターネットが社会に浸透する転換点を考察し、岡嶋裕史氏は、次の3つの転換点を挙げる。 第1の転換点:インターネットの商用解禁 第2の転換点:ADSLによる低廉なブロードバンドの普及 第3の転換点:携帯電話のアクセス端末化 インターネ