今回のバンクーバー冬季五輪前半を、ある意味最も盛り上げたのは、スノーボードハーフパイプ日本代表の国母和宏選手(21)だったのではなかろうか。公式ウエアを着崩した腰パンに、「反省してまーす」と反省の見えない記者会見…。世論を沸騰させた要因は何だったのか。教育評論家の尾木直樹さんと、スポーツライターの玉木正之さんに問題の本質を聞いた。 ◇ ≪尾木直樹氏≫若者を育てきれない社会 −−国母選手の服装に批判が集まった 「あの格好は60代以上の世代は本能的に『だらしない』と不愉快に感じるだろう。同時に、バッシングの背景には社会心理もあると思う。政権が交代しても景気対策や年金など諸問題が期待したほど前進しない一方で、政治とカネの問題がずっと話題になっている。社会全体が閉塞(へいそく)した状況で、五輪に腰パンというわかりやすい間違いが起こり、皆が不満を爆発させている感じ