さて、90年代をまとめたし、ようやくここに踏み込んでいこうと思う。今、現地点からホラー映画を語るということについては、ホラー映画という映画の総体がもはやジャンル映画的な枠組では相対化しえず、かつてのように怪談映画と怪奇映画だけを取り扱うことでは描き切れない、という難点を含んでいるのではないかと考えている。ホラー映画というジャンル自体が、日本もヨーロッパもアメリカも怪談映画からスタートし、それが猟奇性を帯びて怪奇映画へと歩を進め、さらに今、何処へ行こうとしているのか。もしくはこの10年で何処へ辿り着いたのかを細かく検証していくことで、その展望が少しは覗けるかもしれない。 そういうわけでここからはホラーに興味がない人には敷居がぐっとあがってしまうことは致し方ない。なんでスルーしてください。しかしホラーも映画という媒体の中で他のジャンルと同じような普遍的な淘汰を経て来ているために、そこから更に映