「このイタリア人のおじさんと、主人公の二郎先生との師弟関係が熱いんですよ」 「カプローニさんね」 「そうそう。あれはどういう関係かというと、あのさ、最後の最後、あの丘でさ、カプローニ先生が、十年どうだった、って聞いて、二郎先生は、最後の方はぼろぼろでした、って答える。それにカプローニ先生が、『そりゃそうさ、国を滅ぼしたんだからな』と言う。この台詞がひとつのポイントになります」 「ほう」 「国を滅ぼしたんだからな、これはどういう方向性で言っているか。これは、カプローニ先生が二郎先生を褒めている。二郎先生を弟子として賞賛している台詞なわけです」 「それはどういう話」 「どういう話かというと、二郎先生もカプローニ先生も、ある巨大な集団の中でこそ活躍できる、集団戦の人なわけです。巨大な予算が、企業なり国家なりから投入されて、それによって作られた製品に、数百人数千人の若者が乗ってくれる。死亡率のがっ
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