論理というものに慣れていない人は、「論理的」という意味を勘違いして使っているのではないかと思うときがしばしばある。日本の学校教育では論理についての教育をしないので、論理を知らない人のほうが大部分だと思うが、論理というのは、基本的に推論の部分を考察するのであって、結論が正しいかどうかを問うのではない。 結論が間違っていても論理的には正しいということはいくらでもありうるし、結論が正しくても論理的に間違っているということはいくらでもある。結論の正しさは論理の正しさに直結しない。だから、結論に対して賛成できなくても、その結論の導き方が、論理的ではないと決して言えないのである。 論理にとって大事なのは、ある前提を置いたときに、その前提のみから結論が導かれるかという整合性のほうであって、前提に何を置くかというのは、論理の問題ではないのである。それこそ前提に置かれる命題が党派性の強いものであれば、誰も賛